原因が全くわからない病気を研究で治す

原因が全く、あるいはほとんど判明しておらず、治療法も全く分からないような病気はまだまだ存在します。何から調べればいいか分からない状況から始まり、原因を解明して、治療法を見つけるまでの物語を、私が調べてきたいくつかの病気について紹介します。

(1)小児がんを遺伝子解析で治す

小児がんはまれな病気ですが、種類だけは多いという、研究する上では厄介な病気です。がんや人間の設計図(遺伝子)を調べる技術は大きく進歩しており、小児がんを解明し、治療法を開発することに役立ちます。ここでいう治療法とは、10年先、20年先の患者さんだけでなく、現在目の前にいる患者さんに役立つ治療法のこともあります。続きを読む

(2)9割治る白血病に隠れていた、9割治らない白血病

子どものがんで一番多いのは急性リンパ性白血病という名前の白血病です。研究が進むとともにどんどん治療成績が改善しており、現在では90%の確率で治ります。私たちは、残りの10%、すなわち治らなかった急性リンパ性白血病を調べた結果、そこに90%の確率で治らない白血病が潜んでいたことを発見しました。続きを読む

(3)慢性活動性EBウイルス感染症の原因解明

EBウイルス(Epstein-Barrウイルス)は、世界中の95%の人が一度は感染する、世間にありふれたウイルスです。ほとんどの人にとっては、感染しても風邪のような症状だけで収まります。しかしながら、ごく一部の人は発熱などを何年も繰り返し、ときに血液がんのような病気を発症する、致命的な病気(慢性活動性EBウイルス感染症)を引き起こします。長らく原因は不明とされてきましたが、その一部を解き明かす研究成果にたどり着きました。


(4)多中心性細網組織球症の原因解明と治療法開発

多中心性細網組織球症は、お医者さんでもほとんどの人は知らないほど、非常に稀な病気です。 200年前に見つかった病気ですが、世界で400人しか患者さんが見つかっていません。関節リウマチという病気と少し似ていて、体中の関節が壊されてしまう病気です。症状が似ているので、関節リウマチと同じように、自分の免疫システムが自分自身を攻撃してしまうタイプの病気(自己免疫疾患)と考えられていました。ところが研究をしてみると、そうではないことがわかってきました。治療法を開発することもできました。

(5)イラクの白血病を遺伝子解析する

イラクでは、ここ20年の間に起こった、イラク戦争を含めた戦火のため、それぞれの病気について、完全な集計ができない状況です。しかしながら、現場の医師は、ここ10年で、満床になることなどなかった病院が、満床を超える状態になっており、子どもの白血病患者が大きく増えていることに気がついていました。このプロジェクトは、この患者数の増加が、何か環境に原因があってのことなのかを調べることを第一の目的として始まりました。

(6)若年性骨髄単球性白血病の解析

若年性骨髄単球性白血病は、非常にまれなタイプの白血病ですが、まだまだ治療法の開発が必要とされています。